剣道の称号、段位はどんなもの?
剣道の称号と段位は、全日本剣道連盟の「剣道称号・段位審査規則」によって明確に規定されています。直近の大きな改訂は平成11年03月24日に行われ、細部の見直しが適宜されながら運用されています。
1.称号とはどんなもの?
称号は指導力や識見、人格などを備えた、剣道人としての完成度を示すものであるため、六段以上の高段者のみ受審資格があります。
称号には「錬士」、「教士」、「範士」があります。以下のように規定されています。
称号 | 規定 | 受審資格 |
錬士 | 剣理に錬達し、識見優良なる者 | 六段受有者で、六段受有後、別に定める年限を経過し(現在1年)、加盟団体の選考を経て、加盟団体会長より推薦された者。 |
教士 |
剣理に熟達し、識見優秀なる者 | 錬士七段受有者で、七段受有後、別に定める年限を経過し(現在2年)、加盟団体の選考を経て、加盟団体会長より推薦された者。 |
範士 | 剣理に通暁、成熟し、識見卓越、かつ、人格徳操高潔なる者 | 教士八段受有者で、八段受有後、8年以上経過し、加盟団体の選考を経て、加盟団体会長より推薦された者、ならびに全剣連会長が適格と認めた者。 |
2.段位とはどんなもの?
段位は、剣道の力量を示すものであり、初段から八段までの8段階が規定されています。それぞれ次の各号の基準に該当する者に与えられます。
原則、段位は順繰りに取得する必要があります。たとえば二段を受審するには、初段受有者であることが条件になります。また、受審資格を得るためには、下記のような修業年数ないしは年齢に達している必要があります。
段位 | 規定 | 受審資格 |
初段 | 剣道の基本を修習し、技倆良なる者 | 満13歳以上 |
二段 |
剣道の基本を修得し、技倆良好なる者 | 初段受有後1年以上修業した者 |
三段 | 剣道の基本を修錬し、技倆優なる者 | 二段受有後2年以上修業した者 |
四段 | 剣道の基本と応用を修熟し、技倆優良なる者 | 三段受有後3年以上修業した者 |
五段 | 剣道の基本と応用に錬熟し、技倆秀なる者 | 四段受有後4年以上修業した者 |
六段 | 剣道の精義に錬達し、技倆優秀なる者 | 五段受有後5年以上修業した者 |
七段 | 剣道の精義に熟達し、技倆秀逸なる者 | 六段受有後6年以上修業した者 |
八段 | 剣道の奥義に通暁、成熟し、技倆円熟なる者 | 七段受有後10年以上修業し、年齢46歳以上の者 |
現行の規定では、最高段位は八段ですが、かつては九段、十段という段位も存在していました。
長く、初段の受審資格は中学2年以上となっていましたが、2011年の改訂によって満13歳以上となりました。ただし、その受審資格として1級取得後3ヶ月以上等、審査を行う支部によっていくつかの付加的な規定が存在しています。
3.段位を取るのはどれくらい難しい?
段位が上がるごとに、合格率は低くなります。
初段は90%以上、二段は80-90%、三段は70-80%と高い合格率になっていますが、四段以上は格段に難しくなります。
四段は25-35%、五段は20-30%、六段は10-15%、七段は8 - 10%、八段は1%前後です。
特に八段は、七段の先生方の1%しか合格しないといった、とんでもなく低い合格率であるとともに、最低でも取得までに31年の歳月が必要であることから、世界中で最も取得するのが難しい資格と言われています。
やや古い統計データですが、平成15年度の全剣連の段位ごとの登録者数が、いちに会さんのサイトに掲載されていますので、参考にしていただければと思います。
それによると、初段約63.5万名、二段約38.6万名、三段約16.2万名で三段以下の人が約120万人となっています。一方四段以上はだいぶ少なくなり、四段約4.1万名、五段約3.9万名、六段約1.4万名、七段約1.1万名、八段に至っては500名弱となっており、四段以上者を全て合わせても10万人強しかいません。
高段位を取得したり称号を取得したりするためには、それに見合う修業を積み、技を練り術を磨いていくことが求められますが、それだけに価値のある資格であり、剣道の魅力を形成する一要素になっています。
4.剣道の段位は公的な資格?
剣道の段位はあくまで民間の資格です。しかし、警察官、刑務官、皇宮護衛官などの武道区分採用の受験資格においては、「柔道の段位は講道館、剣道の段位は全日本剣道連盟から授与されたものに限る」とされており、全日本剣道連盟の段位は公的にも信用のある資格になっています。
また、警察剣道において取得した段位は、全日本剣道連盟の段位として申告し、認定を得ることができますし、逆に全日本剣道連盟の段位を警察剣道の段位に反映するといった相互運用もされています。