ま行
[ま]間合い
ま-あい
自分と相手の距離(時間的距離:タイミングと空間的距離)を言います。
格闘技や武道の世界では、間合いはもっとも大切なもののひとつです。相手の間合いで戦うということは、相手のペース・距離で戦うということになります。従い、自分の間合いを作ることが重要になります。
間合いには、一足一刀の間合い、横手の間合い、遠間(遠い間合い)、近間(近い間合い)というものがあります。
[み]三所よけ
み-ところ-よけ
別名「三所隠し」、「亀防御」、「びびり避け」とも言われます。面、右小手、右胴をいっぺんに隠し、相手の打突を防御する構えで、剣の理法にまったくそぐわず、忌み嫌われるよけ方です。
中学生や高校生を中心に一時期はやりましたが、これがために従来あまり1本としなかった逆胴や逆小手を1本とすることが多くなりました。
2008年以降、「三所避け」は時間を空費するような行為として試合で反則とするようになり、今ではこのようなよけ方をする剣士はだいぶ少なくなりました。
[み]峰
みね
刀の刃の反対側の稜線を指します。竹刀では、弦(つる)がある側を峰としており、中段に構えたとき、上に来るようにします。
試合では、峰(弦)の側で相手を打突しても、有効打突とはなりません。
[み]見取り稽古
み-とり-げい-こ
先生や先輩の試合や稽古を見学し、構えや間合い、打ち込み方、得意技の出し方などを研究して、良いところを自分の剣道に役立てていくようにする、いわゆる「イメージトレーニング」のことを言います。常にひとの試合や稽古をよく見てしっかり学ぶ姿勢を持つことが大事です。
[む]無念無想
む-ねん-む-そう
あらゆる雑念がなくなって心が澄み切っている状態のことです。
あれこれと考え、邪念が混じったりずるがしこい考えをしたりすれば、必ずそれが表に出てきて、体の動きや打突に影響を与えます。
心が透明になれば、相手の心が見えるようになりますし、自然と自分の体が動くようになり、よい打突につながるということを説いています。
[め]明鏡止水
めい-きょう-し-すい
「明鏡」は一点の曇りもない鏡のことで、「止水」は静かにたたえている水のことを指し、邪念がなく、静かに澄んだ心境のことを言います。
剣道においては、心に曇りがあったり、さざ波が立ち、ざわついていれば、相手の動きをとらえることはできません。従って、このような澄んだ心境で、静かに精神集中することが大事になります。
[め]目付
め-つけ
目の付けどころのことで、相手の目を見ながらも身体全体に意を配ることを指します。
相手から目をそらせれば、そこに隙ができます。従い、どのようなときも目付けを外さないことが大事です。
[め]面手拭い
めん-て-ぬぐい
面をつける際に、頭部につける手拭いです。これをつけることで、汗が頭部から流れてくるのを抑え、面が汗で汚れるのを防ぎます。
面手拭いの付け方が緩いと、稽古や試合の最中に額の側に落ちてきて、目をふさぐことがありますので、初心者は、しっかりとつける練習を繰返し行ってください。
[め]面(打突)
めん
有効打突部のひとつで、頭部のこめかみより上の部分を指します。相手の頭部右側(自分からは左側)を右面、反対を左面と言います。
面打ちは剣道の基本とされ、この打突の稽古を最も重要視します。
[め]面(防具)
めん
頭にかぶる防具です。主に面ぶとん(頭から肩までの1枚の布)と、面金(めんがね:面の顔の部分にある金属製の被い物)、顎(あご)部分の突き垂(つきだれ:突きを受ける部分)から成ります。
面は自分の頭や顔の大きさに合ったものを選ぶことが必要で、緩いと面がとれたり、打突により面が動き、面手ぬぐいが動く原因になります。
[も]もの打ち
もの-うち
竹刀において、剣先から中結までの間を指します。日本刀では、この範囲にしっかりと刃を付け、刀の根元には刃を付けませんでした。そのため、実際の刀に見立てて、切れる部分で相手を打突することを、有効打突のひとつの要素としています。
[も]元打ち
もと-うち
打突部位を竹刀の物打ち部でなく、元のほうでとらえている有効ではない打突のことを言います。間合いが近い状態からの打突が原因で、特に初心者に多い打ち方です。
遠間からの打突や一刀一足の間合いからの打突を教えていくことで矯正をしていきますが、はじめのうちは、どうしても近くないと届かないと思いがちで、矯正に時間がかかる場合もあります。
[も]元立ち
もと-だち
打ち込みやかかり稽古などで、打突を受ける側のことを指します。通常指導者、上級者が元立ちになります。
地稽古の場合も、段位や経験の違うもの同士が行なう場合は、上級のものを元立ちと言います。
[も]黙想
もく-そう
正座し、目を閉じて静かに自らの内面に深く沈思することを指します。全日本剣道連盟の用語規定では、黙想ではなく「静坐(せいざ)」と言います。
手は法界定印(ほっかいじょういん)を組みます。すなわち、丹田(へそのやや下あたり)に右手を置き、掌(てのひら)を上に向けます。その上に左手を、掌を上にして重ね、右手で軽く包み込むようにします。手は全体的に丸みを帯びた形になります。両手の親指は手の上部で円を結ぶようにし、先端をかすかに合わせます。
精神統一観点から稽古の前後に行われます。
稽古を始めるときの黙想は、前回の稽古で注意されたことを思い出し、今日の目標、目的を心に刻む場で、稽古を終えるときの黙想は、今日の稽古の結果と反省の場です。それぞれ、心を落ち着かせ、思いを巡らせる時間と言うことができます。