剣道用語集
[め]面(打突)
めん
有効打突部のひとつで、頭部のこめかみより上の部分を指します。相手の頭部右側(自分からは左側)を右面、反対を左面と言います。
面打ちは剣道の基本とされ、この打突の稽古を最も重要視します。
[め]面(防具)
めん
頭にかぶる防具です。主に面ぶとん(頭から肩までの1枚の布)と、面金(めんがね:面の顔の部分にある金属製の被い物)、顎(あご)部分の突き垂(つきだれ:突きを受ける部分)から成ります。
面は自分の頭や顔の大きさに合ったものを選ぶことが必要で、緩いと面がとれたり、打突により面が動き、面手ぬぐいが動く原因になります。
[も]もの打ち
もの-うち
竹刀において、剣先から中結までの間を指します。日本刀では、この範囲にしっかりと刃を付け、刀の根元には刃を付けませんでした。そのため、実際の刀に見立てて、切れる部分で相手を打突することを、有効打突のひとつの要素としています。
[も]元打ち
もと-うち
打突部位を竹刀の物打ち部でなく、元のほうでとらえている有効ではない打突のことを言います。間合いが近い状態からの打突が原因で、特に初心者に多い打ち方です。
遠間からの打突や一刀一足の間合いからの打突を教えていくことで矯正をしていきますが、はじめのうちは、どうしても近くないと届かないと思いがちで、矯正に時間がかかる場合もあります。
[も]元立ち
もと-だち
打ち込みやかかり稽古などで、打突を受ける側のことを指します。通常指導者、上級者が元立ちになります。
地稽古の場合も、段位や経験の違うもの同士が行なう場合は、上級のものを元立ちと言います。
[も]黙想
もく-そう
正座し、目を閉じて静かに自らの内面に深く沈思することを指します。全日本剣道連盟の用語規定では、黙想ではなく「静坐(せいざ)」と言います。
手は法界定印(ほっかいじょういん)を組みます。すなわち、丹田(へそのやや下あたり)に右手を置き、掌(てのひら)を上に向けます。その上に左手を、掌を上にして重ね、右手で軽く包み込むようにします。手は全体的に丸みを帯びた形になります。両手の親指は手の上部で円を結ぶようにし、先端をかすかに合わせます。
精神統一観点から稽古の前後に行われます。
稽古を始めるときの黙想は、前回の稽古で注意されたことを思い出し、今日の目標、目的を心に刻む場で、稽古を終えるときの黙想は、今日の稽古の結果と反省の場です。それぞれ、心を落ち着かせ、思いを巡らせる時間と言うことができます。
[や]約束稽古
やく-そく-げい-こ
面、小手、胴、小手-面など、かける技や動作などを事前に決めて行う稽古のことです。2人1組で行います。
掛り手は実際に技をかけるときを想定して、真剣に打込みを行うことで、その技を習得していきます。元立ちは、実践を想定した動作の中で掛り手に打たせますが、正しい姿勢、正しい動作での打突の習得を優先し、技がかけやすいよう配慮します。
[ゆ]有効打突
ゆう-こう-だ-とつ
充実した気合いの下、正しい姿勢と動作で刃筋正しく、竹刀のもの打ちで相手を打突し、残心のあるものを有効打突とし、試合では1本となります。
気合いがあっても姿勢や動作が伴っていなかったり、正しい姿勢で正しい竹刀の振りで打ち込んでも気合いがなかったり、たまたま当たっただけだったりした場合は、すべて有効打突にはなりません。
[よ]横手の間合い
よこ-て-の-ま-あい
相手の刀や竹刀と剣先が触れる程度(触刃:しょくじん)の間合いのことを言います。一足一刀の間合いよりも遠く、いわゆる遠間の状態です。
これ以上遠くなると、相手を警戒しているが、お互いに打突をしない(それに適していない)位置、と言うことができます。
[り]理業一致
り-ぎょう-いっち
理は理合い(そうなる理由)、業は技のことで、理と技の両方を修練することが大事であるということを表した言葉です。
剣道を学ぶには理論に偏ってもいけないし、技ばかりに偏ってもいけません。なぜそうするのか、なぜそうなるのかを理解して、稽古で上手くできるようになるよう、修練するのが上達の近道です。
事理一致も全く同じ意味です。
[り]立礼
りつ-れい
立った姿勢から上体を傾けて行う礼で、「神前・上座および上席への礼」と「相互の礼」があります。
「神前・上座および上席への礼」は、上体を約30度傾けて行います。
この礼は神様や先生にあいさつするときのものですから、深々と頭を下げ、気持ちを平静に保ちながら感謝の気持ちを込めて行います。少しの間(一呼吸程度)その姿勢を保った後、静かにもとの姿勢に戻すようにします。
「相互の礼」は、正立した状態から15°程度と、比較的浅い前傾になります。目は相手から絶対にそらさず、礼をし終わるまでずっと相手を見続けます。
剣を持ち相手と向かい合っているときには、決して気を抜かないということを体現した礼のしかたとも言えます。
[れ]連続技
れん-ぞく-わざ
2つ、3つと連続して打突する技のことを指します。
2段で打つものには「小手-面」、「小手-胴」、「面-(左)胴」、「面-面」、「面-小手」、「突き-小手」、「突き-面」などがあります。
また、3段で打つものには「小手-面-胴」、「面-小手-面」、「突き-小手-面」などがあります。
[わ]脇構え
わき-がまえ
右足を引き体を右斜めに向け竹刀を右脇に取り、剣先を後ろに下げた構えです。右足を引き八相の構えの位置を通りながら、竹刀を体の後ろへ移動させ正面からは竹刀が見えないように構えます。刃筋は斜め下へ向かせ、後ろにひいた右足の踵(かかと)は少し浮かせます。前後にいる複数の敵に対応するための構えで、半身に構えます。
1対1の対戦におけるメリットが少なく、この構えを試合や稽古で使うことはありません。日本剣道形では、4本目に登場します。